2009年6月26日金曜日

子どもの目

ブラジルで活躍されてるフルーティスト、熊本尚美さんのご自宅で
初めて行われるという
フルートのリペア講習会を撮影させていただいた。





熊本さんが、ブラジルに来て、痛感したことは、
日本はなんでも揃っている、ということ。

日本には、世界中のいい楽器があるし、
リペア師も沢山いる。

しかし、ブラジルでは、
フルートは、手から手へ引き継がれた楽器が
真っ黒になっても使われ続けている。

リペア師もいない。

熊本さんは、日本の雑誌にその事を書き、ブラジルでリペア師を
やってくれる人を募集した。

そこでやってこられたのが、服部さん。
女性一人で
ブラジルへ飛び込んで来た決断はすごいと思った。
熊本さんのパックアップの熱意もあったのだろう。


初のリペア講習会は、
日曜日の朝10時から行われた。

爽やかな晴天。

年代も様々な3人のフルート愛好家の方が
次々とドアのベルを鳴らす。


出席者は、
ちゃんと時間通りに到着して
リペア講習会は始まった。

エプロンや、理科実験用の白衣。
ブラジルではリペア師がいないから、
いでたちもみんな、想像の世界なのだろう。

みんな、思い思いの衣裳を着けて
うずうずしている。

講習会は、はじまった。

おぼつかない手つきで分解されるフルート。
とても繊細な楽器なので
力を入れて外さないようにと言われたが、
そそっかいしRobertoは、ごりっと、外す。

「Roberto! calma!」
時として檄が飛ぶ。








磨き液を、布切れにつけて磨き始めると
真っ黒な表面の汚れが消えて
ぴかぴかとフルートが輝き出す。






3人のブラジル人生徒のテンションはどんどん上がり、
隅から隅まで磨くのに必死になった。
その目は子どものように、
ぴかぴかと、フルートのように輝いていた。