2009年7月2日木曜日

湖がある。


湖がある。

澄んだ水をたたえて、湖畔には沢山のその水の美しさに魅せられて
人々がしばしの休息と癒しを得ながら
休日の穏やかな時を過ごしてる。

湖面は、日差しを受けて、
または、人々の視線を受けて
プリズムを発して輝いている。

その水に触れようと足をそっといれると
ひんやりとした心地よい気持ちにさせてくれるのだ

そして、湖畔でうとうとと眠りに落ちる…。

目が覚めると、湖は、一夜にして底なし沼に変っていた。
ずぶずぶとその底は知れず
あの澄んだ水、
固定まで届く透明性を持った湖の澄んだ水は
生暖かい、ぬめりをもって
私の足をすくった。

空は怒り、雷が鳴り
雨が轟々と降り
私は、一人になった。

その湖の中で、溺れそうになりながら
どうにもこうにもはい出すことができない。

いくら湖がかつて
輝き透明性を持って人々を魅了していたと主張しても
誰の耳にも届かない。

私は一人であり
その底なし沼は人が一人溺れ死のうと
そんなのは時々起きるたいした事のない出来事。

1メートルも沈めば、
湖面から、私は見えなくなる。

誰にもその記憶は知られずに
湖底の凶暴な生き物にぽきぽきと食べられ
何もなかったように
静かに消えゆくのだ。

嵐の翌日、
湖は、澄んだ水をたたえて
再び人々を魅了し始める。